【弁護士解説】同族企業の「お家騒動」を防ぐ!経産省の新しいルールブックを分かりやすく解読

2026.06.07

「親族で会社をやっているけれど、将来の代替わりでもめないか心配…」 経営者の方とお話ししていると、こんな本音をよくお聞きします。

実は2026年6月5日、経済産業省から同族会社(ファミリービジネス)に向けて「ファミリーガバナンス・ガイダンス」というものが発表されました。

名前は少し難しそうですが、要するに「家族経営の会社が、親族同士のトラブル(お家騒動)を避けて、会社を長く成長させるためのヒント集」です。

今回は、普段から事業承継のトラブル解決に携わっている弁護士の視点から、このニュースのポイントをわかりやすく解説します。

1. なぜ今、「家族のルール」が必要なの?

同族会社には「社長の決断が早い」「長期的な目線で会社を育てられる」という素晴らしい強みがあります。しかし一方で、会社と家族の境界線が曖昧になりやすく、「公私混同」や「身内同士の感情的な対立」が起きやすいという弱点もあります。

例えば、弁護士の元によく持ち込まれるのはこんなトラブルです。

  • 「先代の社長が亡くなった途端、会社を手伝ったこともない親族が『自分にも株の権利がある!』と口を出してきた」

  • 「兄弟で経営方針が割れてしまい、毎回の会議がケンカになり、会社の決定がストップしてしまった」

こうした悲しいトラブルを未然に防ぎ、強みだけを活かしていくためのルール作り。それが「ファミリーガバナンス」です。

2. 経産省のガイダンス、何が書かれている?

今回発表されたガイダンスでは、大きく分けて「家族内のルール」と「会社に関わる人たち(従業員や取引先など)への配慮」についてまとめられています。

具体的には、以下のようなことを家族で話し合って決めておくのがおすすめされています。

① 家族の考え方を文字にする(ファミリー憲章)

「うちの会社は何を大切にするのか」という理念を、家族のルールブックとして明文化します。

② 次の社長を「どう選ぶか」を透明にする

「長男だから」と自動的に決めるのではなく、能力や周囲の納得感を大切にする仕組みを作ります。

③ 「会社の株」を誰が持つか決める

経営に関わらない親族に株が散らばると、後々トラブルの火種になります。株の持ち方や譲り方のルールを定めます。

④ 家族会議の場を作る

お正月やお盆の集まりとは別に、会社のことを真面目に話し合う「場」を定期的に設けます。

3. うちの会社もやらなきゃダメ?罰則はある?

このガイダンスは法律ではないので、やらなかったからといって罰則はありません。

主に中堅規模の会社をイメージして作られていますが、経産省も言っている通り、会社の規模に関わらずすべての同族企業にとって参考になる内容です。

まずは「うちの会社、このままだと将来もめないかな?」という健康診断のような感覚で、ご家族で読んでみることをおすすめします。

4. 弁護士からのアドバイス:決めたルールを「法律」で守る

家族で話し合ってルールを決めるのは素晴らしいことですが、実はそれだけでは不十分です。せっかく決めたルールも、口約束だけでは「言った・言わない」のトラブルになります。

決めたことを「法的に効力のある仕組み」に落とし込むのが、私たち弁護士の出番です。例えば、以下のような方法を使います。

  • 定款(ていかん)の見直し:会社の基本ルールである定款を書き換え、会社にとって好ましくない人に株が渡らないようにブロックします。

  • 「種類株式」の活用:「配当金はもらえるけれど、経営には口出しできない(議決権がない)株」などを発行し、経営権を今の社長や後継者にしっかり集中させます。

  • 遺言や家族信託(かぞくしんたく):社長が元気なうちに、「誰に会社を任せるか」を法的にカッチリ決めておきます。

おわりに:トラブルが起きる前の「元気なうち」に対策を

事業承継のトラブルは、「もめてから」弁護士のところへ駆け込んでも、解決までに何年もかかり、最悪の場合は家族の縁も切れてしまうなど、傷跡が深く残ります。

「うちは家族仲が良いから大丈夫」と思っている時期にこそ、将来に向けたルール作りを始めるベストタイミングです。

「何から手をつけていいかわからない」「今の株の持ち方で大丈夫か見てほしい」という経営者様は、ぜひお気軽に当事務所までご相談ください。法律の力で、貴社の大切な会社とご家族を守るお手伝いをいたします。

【参考リンク】 経済産業省:「ファミリーガバナンス・ガイダンス」の公表について

※本記事の内容は執筆時点(2026年6月)の法令・情報に基づいています。実際の個別具体的な事案については、専門家へのご相談をお勧めします。

丸の内経営法律事務所

丸の内経営法律事務所は、企業法務を得意とする名古屋市の弁護士事務所です。これまでに関わった中小企業のトラブル解決数は 200件 以上となります。「関わった人全てを豊かにする」を企業理念に、名古屋市をはじめ東海エリアの中小企業を法務面・経営面から多角的にサポート。顧問弁護士として労働問題解消や契約書作成など、企業のトラブルを未然に防ぐリーガルリスクマネジメントにも尽力します。

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