悪いGoogle口コミを削除したいと、会社は何を優先すべきか|誹謗中傷・低評価レビュー・削除依頼の考え方

2026.10.31

「詐欺会社です」とGoogle口コミに書かれたら、すぐ削除を求めるべきか

Google口コミは、中小企業の集客に大きな影響を与えることがあります。

特に、住宅リフォーム、美容、飲食、医療、士業、店舗型サービスなどでは、問い合わせ前にGoogleレビューを確認する人も少なくありません。

そのため、突然★1の口コミが投稿され、

「詐欺みたいな会社です」

「絶対におすすめしません」

などと書かれれば、経営者が、

「すぐ削除させたい」

と思うのは自然です。

しかし私は、悪いGoogle口コミが出たとき、最初から「消すこと」だけを目的にするのは危険だと考えます。

まず確認すべきなのは、その口コミのどこが事実で、どこが評価で、どこが問題表現なのかです。

相談事例|★4.6だった会社に「詐欺会社」と★1口コミ

ある住宅リフォーム会社を想定します。

これまでGoogle口コミの平均評価は4.6。

地域では比較的評判の良い会社でした。

ところが、元顧客から突然★1の口コミが投稿されます。

内容は、

  • 契約後に追加料金を請求された
  • 工事が雑だった
  • 営業担当から連絡を無視された
  • 詐欺みたいな会社だ
  • 絶対におすすめしない

というものでした。

さらに営業担当者の実名まで書かれています。

社長は激怒。

「事実と違う」

「すぐ削除させよう」

と考えました。

しかし社内で確認すると、完全な虚偽とは言い切れない部分もありました。

口コミ全体を「嘘」と決めつけない

今回、追加料金が発生したこと自体は事実でした。

工事後に手直しをしたことも事実。

営業担当者の返信が3日空いたことも事実です。

一方で、

「詐欺みたいな会社」

という表現は非常に強い。

また、手直し前の写真だけを掲載していれば、現在の施工状態とは違う印象を与える可能性もあります。

私は、こういう口コミを一つの文章として扱いません。

内容を分解します。

Google口コミは4つに分けて考える

私なら、投稿内容を少なくとも次の4つに分類します。

1.客観的な事実

追加料金が発生した。

工期が延びた。

手直しをした。

返信が遅れた。

こうした部分です。

2.顧客の評価・感想

「工事が雑だった」

「おすすめしない」

などです。

会社側には納得できなくても、顧客本人の評価として書かれている場合があります。

3.強い非難表現

「詐欺会社」

「騙された」

など、犯罪や不正を強く想起させる表現です。

ここは、事実関係や文脈を確認したうえで、削除申請等を検討する余地があります。

4.従業員個人への記載

担当者の実名、個人攻撃、不要な個人情報などです。

会社への口コミとは別に、従業員本人への影響も考える必要があります。

この問題の本質は「★1を消せるか」ではない

社長からすると、検索画面に★1口コミが残ること自体が大きなストレスです。

しかし今回、もっと重要な変化が起きています。

顧客は最初、

「工事に不満がある」

と言っていました。

ところが会社が削除要求の電話をしたことで、SNSに、

「口コミを書いたら会社から削除を求められた」

と投稿しました。

つまり問題が、

「施工トラブル」

から、

「悪い口コミを消そうとする会社」

という新しいストーリーへ変わり始めています。

私は、ここを非常に警戒します。

削除要求を急ぐと二次炎上することがある

悪い口コミを見つけると、経営者は直接電話したくなることがあります。

「事実と違うので消してください」

と伝えたくなる。

しかし、顧客側がすでに感情的になっている場合、

「圧力をかけられた」

と受け取られる可能性があります。

結果として、Google口コミだけだった問題が、X、Instagram、YouTube、掲示板などへ広がることもあります。

削除請求そのものより、削除請求のやり方が新しい炎上原因になることがあります。

私なら最初に証拠を保存する

口コミを見つけたら、まず保存します。

  • 口コミ全文
  • 投稿日時
  • 追記内容
  • 掲載写真
  • 「参考になった」の数
  • SNS投稿
  • 他ユーザーのコメント

さらに会社側も、

  • 契約書
  • 見積書
  • 追加工事の承諾
  • 施工前後写真
  • 手直し記録
  • LINE
  • 電話記録
  • 雨漏り調査結果

を整理します。

削除できるかどうかを考える前に、何が本当だったのかを固めることが重要です。

未解決の顧客クレームを残したまま削除だけ求めない

今回、雨漏り問題が完全には解決していません。

会社は、

「施工箇所とは別の原因だと思う」

と判断しています。

顧客は、

「工事前は雨漏りしていなかった」

と思っています。

この認識差が残ったまま、

「口コミだけ削除してください」

と求めても、顧客は納得しにくいでしょう。

私は、削除問題と顧客クレームを分けながら、同時に処理します。

削除申請は削除申請、施工問題は施工問題です。

公開返信で細かく反論しすぎない

会社側からすると、口コミの下に、

「追加工事は了承いただいています」

「手直し済みです」

「雨漏りは別箇所です」

と細かく反論したくなるかもしれません。

しかし私は、公開の場で顧客と事実認定の争いをするのは慎重に考えます。

第三者から見ると、

「会社と顧客がネット上で喧嘩している」

ように見える可能性があるからです。

公開返信をするなら、

「ご不快な思いをさせた点について事実確認を行っています」

「個別の契約内容を公開の場ではお答えできないため、担当窓口からご連絡します」

など、必要最小限に留めます。

「返金するから口コミを消して」は避ける

会社側には、

「少額を返金してでも早く消してもらいたい」

という誘惑があります。

しかし私は、

「20万円払うので口コミを消してください」

というように、金銭と口コミ削除を直接交換する設計は避けます。

顧客トラブルについて補償・解決することと、口コミ削除を対価関係にすることは分けて考えます。

なぜなら、こうした対応が常態化すると、

「悪い口コミを書けばお金が出る」

という別の問題を生むからです。

高評価口コミで埋めれば解決するのか

「悪い口コミが1件あるなら、良い口コミを20件増やそう」

という考え方もあります。

これは方向性としては理解できます。

満足した顧客から自然な口コミを集めることは、会社の評価を正しく反映する意味でも重要です。

ただし、現在のクレームを放置して高評価だけ増やしても、根本問題は残ります。

また、社員や関係者が不自然な口コミを書けば、別の信用問題になります。

口コミ対策とは、悪い口コミを埋めることではなく、実際の顧客体験を改善することです。

営業担当者の実名問題も別に考える

今回、営業担当Cさんの実名が口コミに書かれています。

会社としては、

「会社の顧客対応の問題だから我慢してほしい」

で済ませるべきではありません。

検索結果に名前が残ることは、本人に大きな精神的負担を与える可能性があります。

会社に対する批判と、従業員個人への攻撃は分けて扱います。

削除申請を検討する場合も、会社全体の口コミと従業員個人への記載を分けて考えることが重要です。

問い合わせ18%減少を口コミのせいと決めつけない

今回、新規問い合わせが前年同期比で約18%減少しています。

営業部は、

「あの★1口コミのせいだ」

と考えています。

しかし私は、数字を確認します。

  • 広告費は変わっていないか
  • 検索順位は落ちていないか
  • 競合がキャンペーンをしていないか
  • 季節要因はないか
  • Webサイトの問い合わせ率はどうか
  • Googleマップ経由だけ減っているのか

です。

口コミ問題と営業問題を混同しないことも経営判断です。

よくある失敗① 社長が直接怒って電話する

会社を守りたい気持ちは理解できます。

しかし経営者本人が感情的に削除を要求すると、顧客側には圧力として伝わることがあります。

よくある失敗② 口コミ全文を嘘扱いする

一部に事実がある場合、全文を虚偽扱いすると会社側の説明力が落ちます。

事実、感想、強い表現を分ける必要があります。

よくある失敗③ 公開返信で勝とうとする

Google口コミ欄は、裁判所ではありません。

投稿者に勝つことより、第三者からどう見えるかを優先すべきです。

私ならこう進める


口コミ・写真・SNS投稿を保存する
↓
契約・施工・顧客対応記録を整理する
↓
投稿内容を「事実・感想・問題表現・個人記載」に分類する
↓
問題部分について削除申請を検討する
↓
社長からの直接削除要求を止める
↓
未解決の施工・雨漏り問題を別途整理する
↓
公開返信は必要最小限にする
↓
担当社員をケアする
↓
問い合わせ減少の原因を数字で確認する
↓
口コミ対応ルールを社内で作る

実務上のチェックポイント

  • 口コミ全文
  • 投稿日時
  • 追記履歴
  • 投稿写真
  • SNS投稿
  • 契約書
  • 当初見積書
  • 追加工事見積書
  • 追加工事の承諾記録
  • 施工前後写真
  • 手直し記録
  • 雨漏り調査結果
  • 営業担当とのLINE
  • 返信遅延の経緯
  • CSへの苦情履歴
  • 社長から顧客への連絡内容
  • 担当者実名の掲載状況
  • 問い合わせ数の推移
  • 広告費の変化
  • Googleマップ経由の問い合わせ数
  • 過去の低評価口コミ
  • 過去の削除申請
  • 他顧客の類似苦情
  • 現在の口コミ依頼方法

経営者に確認したい一つの質問

私は、このようなGoogle口コミ削除問題では最後にこう聞きます。

「その口コミが削除されなくても、第三者が会社の対応を見たときに、ここなら任せてもいいと思ってもらえますか?」

ここが重要です。

口コミ削除は会社側だけで完全にコントロールできるものではありません。

しかし、会社がその後どう対応するかはコントロールできます。

なぜ法律だけでは解決できないのか

悪質な口コミには、名誉や信用の侵害、削除請求などの法的論点があります。

しかし、法律上削除を求められる可能性があることと、経営上すぐ削除要求を突きつけるべきことは同じではありません。

強い対応によって二次炎上すれば、削除できた口コミ以上の評判被害が残る可能性があります。

反対に、何でも我慢すれば従業員や会社の信用を守れません。

必要なのは、

  • 法的リスク
  • 顧客感情
  • 従業員保護
  • SNS拡散
  • 集客
  • ブランド

を同時に見ることです。

重要なのは、口コミ投稿者に勝つことではなく、将来の顧客から信頼される対応を残すことです。

まとめ|Google口コミ削除より先に「何が事実か」を整理する

Google口コミに「詐欺会社」などの強い表現を書かれた場合、私は最初から口コミ全体の削除を要求しません。

まず証拠を保存します。

次に、投稿内容を分解します。

客観的事実なのか。

顧客の感想なのか。

根拠の薄い強い非難なのか。

従業員個人への記載なのか。

その上で、問題のある部分について削除申請を検討します。

同時に、未解決の顧客クレームも整理します。

このケースの本当の問いは、「★1口コミを消せるか」ではありません。

その口コミが残っても、第三者から見て会社の対応を信頼してもらえるかです。

私は、それが悪いGoogle口コミへの対応で最初に守るべきものだと考えます。


※本記事は、Google口コミ、悪い口コミの削除、低評価レビュー、誹謗中傷、顧客クレーム対応等について、一般的な経営判断の考え方を整理したものです。個別案件における削除の可否や法的責任を示すものではありません。実際の対応は、投稿内容、事実関係、契約内容、顧客とのやり取り、プラットフォームの運用その他の具体的事情によって異なります。

丸の内経営法律事務所

丸の内経営法律事務所は、企業法務を得意とする名古屋市の弁護士事務所です。これまでに関わった中小企業のトラブル解決数は 200件 以上となります。「関わった人全てを豊かにする」を企業理念に、名古屋市をはじめ東海エリアの中小企業を法務面・経営面から多角的にサポート。顧問弁護士として労働問題解消や契約書作成など、企業のトラブルを未然に防ぐリーガルリスクマネジメントにも尽力します。

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